健康経営の目的は社員を健康にすることではない

最終更新日:2021年6月25日

健康経営の目的は企業を成長させること

健康経営とは、社員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する経営手法を指します。すなわち、社員の健康増進や労働衛生に対して経営の側面から戦略的に「投資」することです。では「投資」に対する「リターン」は何かというと、「自社の成長」です。健康経営の取り組みを社外にしっかりアピールすれば、自社のイメージアップやリクルート効果につながります。具体的な数値として、経済産業省が発表している健康経営の研究では、前者については宣伝広告費換算で3-5億円相当、後者についてはヒアリングで3-4倍の効果があったと報告されています。1人あたりの採用にかかる費用は50万円以上とも言われていますので、前者と合わせて健康経営を社外にしっかりアピールした場合の「リターン」の大きさはご理解いただけたかと思います。

社員を健康にすることではない!?

では健康経営の社内における「リターン」はいったい何でしょうか。医療費削減や離職率低下もあげられますが、私は次の2つの質問に集約されると考えます。

  1. 病気やけががない時に発揮できる仕事の出来を100%として、過去4週間の自身の仕事を評価して下さい(1~100%で回答)
  2. 過去1年間に、自分の病気で何日仕事を休みましたか?

質問1を100%・質問2を0日に近づける、すなわち、生産性を高めて病気や不調による欠勤を防ぐことで、自社を成長させるということです。すこし冷たい表現になってしまうかもしれませんが、質問1を100%・質問2を0日に近づけるためには社員の健康は手段として必要ですが、社員の健康が最終目的になってしまうと企業にとって健康経営は「コスト」でしかなくなり、長期的にみてせっかくの健康経営の素晴らしい取り組みが定着しなくなってしまいます。

しかし見方を変えれば、社員の健康はどちらにしても必要不可欠ですし、体調を安定させてパフォーマンスをもっとも高められれば、仕事はもちろん、家族や趣味・自己学習の時間など、社員一人ひとりの人生や自己実現にとって抜群のプラスの効果が期待できます。

社会課題解決にもつながる

企業に求められる役割が世界的に新しいステージに来ています。SDGsやESG・ESG投資という言葉をよくみかけるようになりましたが、世界共通のSDGsというゴールに対して企業が取り組むべきプロセスがESGです。ESGというのは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字で、ESGを意識して日々の企業活動を行っていくことが企業のサステナビリティを向上させ、そのような企業に投資家たちも積極的に投資をしていこうというESG投資の動きも国連責任投資原則で推進されています。

健康経営で「社員の健康を守り、高める」ということはESGの「S」「G」に合致していますし、特に少子高齢化が進み、人口も著しく減少する日本では今後さらに企業に求められる役割であることは疑いようがありません。そして社会課題と真剣に向き合って解決している企業に、結局はお金・人・モノが集まってくるのです。

健康経営の目的を明確に意識して取り組むことで、サスティナブルに自社を成長させ、同時に社会問題も解決してしまいましょう!

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